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敬語コミュニケーションの研究
要旨：日本人の社会生活コミュニケーションにおいて、敬語は重要な役割を担っている。日本人でも円滑な人間関係を築くために、正しい敬語を習得しようと思っている人は多い。そのための書籍も数多く出版されている。しかし、敬語は言葉として理解しているだけでは、実際のいろいろな場面で敬語を使いこなすことはできない。したがって、敬語を本当に使いこなすためには、敬語を超えた「敬語コミュニケーション」（「待遇コミュニケーション」とも）として捉えることが提案されている。「敬語コミュニケーション」というのは、簡潔に言えば敬語を使って行う言語活動のことである。今日までの敬語コミュニケーションの研究は敬語を考えるための枠組み、敬語的性質、敬語的性質による敬語の分類、敬語の実践などの研究が多かった。本文は、大学生の敬語意識についてのアンケート調査を通じて、敬語コミュニケーションと敬語意識のつながりおよび敬語コミュニケーションの力を付ける方法を探り出すための研究である。
キーワード：敬語表現、敬語コミュニケーション、待遇コミュニケーション、敬語の性質、枠組み、教育
一、文献综述
近年、「敬語コミュニケーション」についての研究が多くなってきている。特に早稲田大学の蒲谷宏氏およびその研究グループは大きな成果を上げている。蒲谷宏・川口義一・坂本恵三人により書かれた『敬語表現』（2004）という本はとても重要である。この本によって、敬語コミュニケーションの研究の土台が築かれたといっても過言ではない。この本は「敬語表現」について、従来の「敬語」に関する本とはやや異なった観点から論じられている。１、「敬語表現」を考えるための基本的な枠組みについて、創造的な意見が提出されている。「敬語表現」の枠組みを表現意図、人間関係、場、表現形態、題材・内容、敬語、文体、媒体化という九つ要素に分けている。２、敬語の基本的な性質や機能に基づいて、「敬語」を分類している。分類の内容は以下の通り。
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文体敬語 |
概念敬語 |
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丁重文体語 |
丁寧文体語 |
美 化 語 |
尊卑語 |
尊重丁重語 |
丁 重 語 |
尊重語 |
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自己卑下語 |
相手尊重語 |
直接尊重語 |
間接尊重語 |
恩恵直接尊重語 |
恩恵間接尊重語 |
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- 「敬語表現」と関わりの深い「行動展開表現」について、主に「行動」「決定権」「利益」という観点から、その原理を述べている。４、適切な「敬語表現」にするために、「敬語表現」における典型的な問題例を挙げ、これについて検討している。以上、この本では、「敬語表現」についていくつかの新たな視点から見られるけれども、「敬語表現」の教育・学習については述べられていない。
次に、「敬語表現」の研究成果を踏まえ、「敬語コミュニケーション」という概念が提案された。研究者達はこれについて様々な研究を行いており、たくさんの研究成果を上げている。例えば、蒲谷宏（2007）『大人の敬語コミュニケーション』、『敬語から敬語コミュニケーションへ--新年度に役立つ 敬語の本質』など。そして、以上の研究成果をまとめた『敬語コミュニケーション』（2010）という本が出版された。この本は『敬語表現』（2004）を踏まえたものである。しかし、フレームは『敬語表現』（2004）と大体同じである。まず、この本は「敬語コミュニケーション」を考えるための基本的な枠組みを「コミュニケーションの主体」「人間関係」「場」「意識」「内容」「形式」という六つに分けており、本来の九つより簡略になっている。また、敬語の体系について、特に敬語の性質と意識（気持ち）の関係や敬語の性質による敬語の11分類についてうまく説明している。そして、理解しやすいために、この本では、敬語の11分類を文化庁の『敬語指針』（2007）の5分類をあわせて示している。それから、適切な敬語コミュニケーションを目指すために、敬語化から敬語コミュニケーション化へという方法を述べている。最後に、敬語コミュニケーションの実践として、面接、発表、案内といったざまざまなコミュニケーションの課題を採り上げ、その解決を試みている。
次に、教育においては、「待遇コミュニケーション」という概念で捉えた研究が成果を上げている。蒲谷宏（2011）「待遇コミュニケーション教育から見た日本語能力の育成」という論文の中で、「日本語教育においては育成すべき日本語能力とは、コミュニケーション主体である学習者がコミュニケーション行為を行う能力であると考えている。」という主張が提出されている。これによって、日本語教育における日本語能力の育成とは、言葉の教育を含みつつ、しかし言葉教育を超えた人と人のコミュニケーション行為の能力を育成ことが必要であることがわかる。さらに、徳間晴美（2012）「日本語学習者の「人としての成長」を考える待遇コミュニケーション教育」という論文でも、学習者の「人としても成長」を考える待遇コミュニケーション教育の必要性が論じられている。今後さらに、「待遇コミュニケーション」の研究が盛んになると思われる。
以上の参考文献によって、筆者は「敬語コミュニケーション」の研究プロセスや「敬語コミュニケーション」の体系などについてよく理解できた。そして、これらの先行研究に基づいて、筆者は敬語意識の調査を行い「敬語コミュニケーション」の力を付ける方法を探りたいと思っている。
二、查阅中外文献资料目录
１、坂詰力治（1985）『敬語 思いやりのコミュニケーション』有斐閣新書
２、滝浦真人（2005）『日本の敬語論―ポライトネス理論から再検討』大修館書店
３、国立国語研究所（1983）『国立国語研究所報告77 敬語と敬語意識 岡崎における20年前との比較』三省堂
４、奥秋義信（2007）『勘違い敬語の事典 ＂型”で見分ける誤用の敬語』東京堂出版
５、三輪正（2000）『人称詞と敬語―言語論理学の考察』人文書院
６、蒲谷宏・金東奎・吉川香緒子・高木美嘉・宇都宮陽子（2010）『敬語コミュニケーション』朝倉書店
７、蒲谷宏（2007）『大人の敬語コミュニケーション』筑摩書店
８、蒲谷宏・川口義一・坂本恵（2004）『敬語表現』大修館書店
９、野口恵子（2009）『バカ丁寧化する日本語 敬語コミュニケーションの行方』光文社
１０、小崎誠二（2007）『気持ちが伝わる敬語の使い方』桐原書店
１１、長尾高明（2005）『敬語の常識』渓水社
１２、森山卓郎（2003）『コミュニケーション力をみがく』日本放送出版協会
１３、蒲谷宏・金東奎・高木美嘉（2009）『敬語表現ハンドブック』大修館書店
１４、蒲谷宏・金東奎・高木美嘉・吉川香緒子（2008）「待遇コミュニケーション」における「敬語」の捉え方 『早稲田日本語研究』17、71-82
１５、蒲谷宏（2011）「待遇コミュニケーション教育から見た日本語能力の育成」 『早稲田日本語教育学』 早稲田大学日本語教育研究科2011．02．21
１６、西尾玲見 佐竹秀雄（2005）『敬語の教科書』文昇堂
１７、徳間晴美（2012）「日本語学習者の「人としての成長」を考える待遇コミュニケーション教育」『早稲田日本語教育学』第11号 早稲田大学日本語教育研究科
１８、蒲谷宏 『敬語から敬語コミュニケーションへ--新年度に役立つ 敬語の本質』
＜http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/culture_140421.html＞（2015年9月29日確認）
- 蒲谷宏 「待遇コミュニケーション」～大人のコミュニケーションに必要なものとは？～ 」
＜http://www.waseda.jp/student/weekly/contents/2006b/105e.html＞ （2015年9月29日確認）
- 斎藤達哉（2006）「大学生の敬語意識をめぐって」跡見学園女子大学人文学フォーラム（通号４）p．117~129
资料编号：[285263]
敬語コミュニケーションの研究
要旨：日本人の社会生活コミュニケーションにおいて、敬語は重要な役割を担っている。日本人でも円滑な人間関係を築くために、正しい敬語を習得しようと思っている人は多い。そのための書籍も数多く出版されている。しかし、敬語は言葉として理解しているだけでは、実際のいろいろな場面で敬語を使いこなすことはできない。したがって、敬語を本当に使いこなすためには、敬語を超えた「敬語コミュニケーション」（「待遇コミュニケーション」とも）として捉えることが提案されている。「敬語コミュニケーション」というのは、簡潔に言えば敬語を使って行う言語活動のことである。今日までの敬語コミュニケーションの研究は敬語を考えるための枠組み、敬語的性質、敬語的性質による敬語の分類、敬語の実践などの研究が多かった。本文は、大学生の敬語意識についてのアンケート調査を通じて、敬語コミュニケーションと敬語意識のつながりおよび敬語コミュニケーションの力を付ける方法を探り出すための研究である。
キーワード：敬語表現、敬語コミュニケーション、待遇コミュニケーション、敬語の性質、枠組み、教育
一、文献综述
近年、「敬語コミュニケーション」についての研究が多くなってきている。特に早稲田大学の蒲谷宏氏およびその研究グループは大きな成果を上げている。蒲谷宏・川口義一・坂本恵三人により書かれた『敬語表現』（2004）という本はとても重要である。この本によって、敬語コミュニケーションの研究の土台が築かれたといっても過言ではない。この本は「敬語表現」について、従来の「敬語」に関する本とはやや異なった観点から論じられている。１、「敬語表現」を考えるための基本的な枠組みについて、創造的な意見が提出されている。「敬語表現」の枠組みを表現意図、人間関係、場、表現形態、題材・内容、敬語、文体、媒体化という九つ要素に分けている。２、敬語の基本的な性質や機能に基づいて、「敬語」を分類している。分類の内容は以下の通り。
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