アニメと日本語のアジア普及
要旨:周知のように、日本の「アニメ」の海外での爆発的な人気ぶりが近年新聞やインターネットを賑わす話題の一つとなっている。日本文化の普及におけるアニメの役割などあるいは、海外への日本語普及の政策及び現状、影響についての研究はたくさんあるが、この両者、つまりアニメと日本語の普及との関連性についてはまだ十分に研究されていないようである。したがって、本論文はアジアを中心に、アニメの現状と影響力、また日本語の普及におけるアニメの役割などを探究してみたい。
キーワード:アニメ;日本語の普及;アジアでの政策;役割;影響
一、文献综述
今、世界中で日本のアニメが大人気である。日本のアニメーションが映画賞を受賞し、芸術文化としての評価も高まるとともに、インターネット、テレビなどの普及で「アニメ」は世界中のどこからでもアクセスできる時代となり、その勢いは増す一方である。また、「アニメ」が海外の若者が日本語に興味を持つ大きなきっかけとなっていることが確かであり、日本語のアジア普及という点で「アニメ」の影響や果たす役割が大きいと言えよう。
アニメが日本語学習動機となる点については、多数の専門家から指摘されており、アニメによる日本語普及効果が期待できる。熊野七絵·廣利正代は「「アニメ・マンガ」調査研究 ―地域事情と日本語教材―」 一文に「アニメ」は海外での日本語学習の大きな動機づけの一つとして注目されていると述べている。
日本政府は日本語の普及を広めるために、アニメの力を使い、いろいろの政策を提案した。小泉首相は第159回国会(2004年1月19日)における施政方針演説で「世界で高く評価されている映画、アニメ、ゲームソフトなどの著作物を活用したビジネスを振興し、文化・芸術をいかした豊かな国づくりを進めてまいります」(小泉純一郎,2004)と述べ、アニメを文化産業として活用する方向性を打ち出している。安倍首相の所信表明(第165回国会 2008年9月29日)が、この路線を継承し、アニメに「J ブランド」を担わせる方針を明確にしたものと見ることができる。同様の立場から、アニメ、マンガのソフトパワー外交の意義を主張しているのが、麻生太郎である。麻生(2007a)、麻生(2007b )の他、「自称・秋葉原オタクの皆さん」と語りかけ話題となった2006年自民党総裁選秋葉原駅前街頭演説等でも、同様の主張が繰り返されている。
高度経済成長期の1977年1月、日本は、「諸国民との間に心と心が触れ合う相互理解の増進に努めることこそ、わが外交に課せられた大きな課題の一つ」であるとして、文化交流のための専門機関の創設を強く訴えた。これにより設立されることとなった国際交流基金の設立準備段階においても活発な議論が交わされたが、その多くは日本の文化交流は「控えめ」で「相互理解」を目指すべきだとうい意見であった。
国際交流基金によると、1940年に日本政府が外国人向け日本語教育の方法一元化を目指し、日本語教育専門家からなる「日本語教育振興会」を設立した。また、文化交流のための国際交流基金も創設された。国際交流基金の日本語普及事業の基本方針は一貫して「日本語教育の現地化」と「現地主導による日本語教育への協力」である。すなわち「海外における日本語教育は、現地の国々の講師が主体となってその国の言語に基づく教材を使って教えることを目標とすべきであり、基金はそのために必要な諸手段を提供する」という方針の下、各国の日本語教師養成に協力する教師派遣、現地諸機関による日本語教材開発に対する人的および資金援助、現地講師の日本での研修のほか、現地機関が現地人スタッフを雇用する際の給与補助を中心に行った。
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